献血から輸血まで

 今回は、日々の診療で不可欠な輸血について患者様にご説明するつもりでまとめていきたいと思います。せっかくですので、輸血の前に献血について日本赤十字社様のホームページを参考にまとめていきたいと思います。少しでも献血や輸血をも身近に感じ、興味を持っていただけましたら幸いです。それでは始めていきましょう。

献血について

輸血のための血液を無償で提供すること

(広辞苑)

 日本赤十字社が、1952年(昭和27年)に日本赤十字社中央病院(現日本赤十字社医療センター)にて開始し、日本赤十字社による献血は、2019年時点で全国54の血液センターと172の付属施設において運営されているそうです。

 以下は年間でどの程度の献血がなされているのかグラフです。人工的に血液を作り出す技術が発展しない限りは、今後ますます献血の重要性は高まっていきそうです

 献血には2種類ありまして、どちらの献血を実施するかで実施場所と所要時間が異なります。多くの方が想像する献血のイメージはスーパーや大型複合施設で実施されている全血採血の方だと思います。

 献血の使い道として大量出血時の輸血を想像される方も多いと思います。テレビドラマ等でもよく目にします。しかし、献血は輸血のための血液製剤だけではなく、血漿分画製剤といういわば治療薬の原料にもなっています

輸血について

 輸血とは、輸血用血液製剤を用いて血液中の赤血球、血小板、凝固因子などを補充することを意味します。輸血を行うことで貧血や出血しやすさなどの臨床症状を改善・予防させることができます。一方で、感染症やアレルギーなどリスクを伴いますので、それを上回るベネフィット(利益)があるのかよく考えなくてはいけません。

 以下には、輸血製剤の種類とその適応例を簡単にまとめました。赤血球製剤は採血後約20日、血小板製剤は採血後4日と使用期限があります。特に血小板製剤は4日しか使用期限がありませんので大変貴重な製剤となっています。血液製剤の適応例ですが、その疾患の重症度や症状にもよりますので全ての患者様に一様に当てはまるものではありません。

 輸血を実施する疾患では特に外科手術(特に心臓や血管の手術)や悪性腫瘍(特に血液疾患)治療の際に行われることが多いです。これらの疾患の患者様は治療や生命維持のために輸血が不可欠ともいえるでしょう。

 最後に豆知識として実際の輸血でどの程度血中ヘモグロビン(Hb)の値が改善するのかを計算式を用いてまとめました。実際の現場では計算式をほとんど気にしていないと思いますが、赤血球製剤2単位でHb1.0-1.5g/dL程度上昇することを覚えておくとどこかで役立つかもしれません。

 

 以上、献血から輸血に至るまでを簡潔にまとめてみました。献血や輸血をより身近に感じていただけましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

<参考文献>
日本赤十字社HP
・神田善伸. 血液病レジデントマニュアル第3版. 医学書院.

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